授 業 期 間 | 2022年度 後期 | 授 業 対 象 | 指定なし 木2 |
科 目 名 |
教養演習C
(個人として生きながら人間関係の中も生きる自分について考える)
(Liberal Arts and Sciences Seminar C)
|
科 目 責 任 者 | 大町 知久 | 単 位 数 | 1単位 |
担 当 者 | 大町 知久※ |
授 業 の 目 的 |
個人として生きつつも関係の中を生きているのが人間である。しかしそれを両立させることは簡単なことではない。本授業を通じて、個人としても関係の中でも生きていくとはどういうことかを考える機会を持ち、自立とアイデンティティの獲得という青年期の大切な仕事を支える基盤を作ることを目標としている。 |
教 育 内 容 |
自立した個人が強調される現代ではあるが、社会的な存在である人間にとって、他者と関わりを持たない状態での自立は存在しえない。いかに人と関わりながらも過度に巻き込まれない状態を維持し、自立を育てていくのかということについて、心理学のこれまでの知見を踏まえつつ、各自で考え、互いの意見の交流を行い、それぞれにとっての自立を捉える。 |
教 育 方 法 |
各回のテーマについて主に心理学の知見から基礎知識について学習する時間を持ち、その後演習(グループワーク)を行う。毎回の授業の最後に授業に関する理解や疑問点等についてまとめた内容を、ウェブ上のコメント機能を利用して提出してもらう。提出されたコメントについて担当教員が個別にコメントを返すことや、次回の授業で代表的な内容を紹介・説明することで、授業の内容に関する理解を深める。 |
準 備 学 習 (予習・復習) |
【授業時間外に必要な学習の時間:15時間】 予習:次回の授業内容に出てくるキーワードについて意味や内容を調べ、予めイメージできるようにしておくこと(必要時間:30分) 復習:前回の授業で配布された資料を読み直し、実施したグループワークの内容を振り返り、そこで感じた自分らしさについて検討する(必要時間:30分) |
回 | 担当者 | 項目 | 授業内容 |
---|---|---|---|
1 | 大町 【対面】 |
オリエンテーション・ガイダンス、 自分を生きる①「青年期と自分」 |
講義内容や講義の進め方、本講義における目標について説明する。また青年期という時期についての理解を深め、青年期の自分がどのように成立しているかについてワークを通じて理解するウォーミングアップに取り組む。 |
2 | 〃 |
自分を生きる②「枠組み」 |
人はそれぞれ自分の「枠組み」を持ち、知らず知らずのうちに自分の「枠組み」を使って、自分について判断している。そうした「枠組み」を知ることで、これまでは気がつかなかった自分について考える機会とする。 |
3 | 〃 |
自分を生きる③「価値観」 |
人は、毎日の生活、周囲との関係、育ってきた環境の中で自然と育んできている「価値観」を持っている。自分が持つ「価値観」を知ることで、自分自身の好き嫌いの傾向や判断基準を理解し、人それぞれ違うことに気がつく機会とする。 |
4 | 〃 |
自分を生きる④「思い込み」 |
人は「思い込み」を多く抱えている。それぞれの人の生活に「思い込み」として決め付けてしまっていることがどれくらいあるのかを実感し、発想の転換へのヒントを考える機会とする。 |
5 | 〃 |
自分を生きる⑤「感情」 |
日々生活している中で、自分の気持ちを全く表現せずに生きていくことは難しい。普段自分が自分の感情や気持ちとどのように付き合っているか、自分自身にとってどのような表現の仕方や捉え方がより楽な生活に繋がるのかを考える。 |
6 | 〃 |
自分を生きる⑥「葛藤との付き合い方」 |
人が生活をしていれば葛藤を感じる場面は必ずある。一方で葛藤とうまく付き合うこともなかなか難しい。葛藤に直面したときにどのようなことを感じるのかを体験する場面を設け、それぞれの人にとっての葛藤と付き合う方法について考える。 |
7 | 〃 |
自分を生きる⑦「自己開示とフィードバック」 |
人にはそれぞれ、自分の中のどの範囲の物事であれば人に開示していいかという線引きがある。親しい関係、自分が作りたい関係を作るには、その線引きをどのように考え、どのように伝え合うことが望ましいのかについて考える。 |
8 | 〃 |
関係を生きる①「家族と自分」 |
自分は一人の人間であると同時に、育った環境の中で、他のメンバーと関係を持つ存在でもある。人が育ち変化するように、家族もまた育ち、変化する存在である。家族の発達ライフサイクルを例に出しながら、それぞれにとっての家族とその影響について考える。 |
9 | 〃 |
関係を生きる②「ジェンダーと自分」 |
社会・文化的な役割としての性差のことをジェンダーという。私たちは知らないうちにジェンダーの影響を受けざるを得ない。ジェンダーが与える影響や性役割について考え、自分自身のあり方とジェンダーとの関係について考える機会にする。 |
10 | 〃 |
関係を生きる③「親密な関係と自分」 |
人は誰しもが親密な関係を求めるもの。夫婦やカップル、家族関係を例に出しつつ、それぞれが求める親密な関係とは何かということを考える。 |
11 | 〃 |
関係を生きる④「自己分化と自分」 |
理性と感情どちらかだけで人との関係を生きていくことは難しい。人との関係から得られる安心感は大きいが、うまくいかない場合の失望感も大きい。理性と感情のバランスを取るとはどういうことかを考える。 |
12 | 〃 |
関係と自分をつなぐもの「コミュニケーション①」 |
それぞれの違う考え方を持った他の人と人が関わるコミュニケーションでは、どういったことが起こっているのかを考える。 |
13 | 〃 |
関係と自分をつなぐもの「コミュニケーション②」 |
言葉を使わないコミュニケーションと言葉を使ったコミュニケーションで、それぞれ人に伝えること、人の意図を理解することの難しさを実際に体験し、どのようなやり取りをすることがうまくいくコミュニケーションに繋がりやすいのかについて考える。 |
14 | 〃 |
関係と自分をつなぐもの「コミュニケーション③」 |
言葉の使い方によって相手への伝わり方は全く違う。実際に日ごろの自分の言葉の伝え方を考え、他の人の言葉の使い方を知り、幅広い表現の仕方を学びぶことで、伝えたいことを伝えるということはどういうことかを考える。 |
15 | 〃 |
解説 |
オフィスアワーに訪問した学生に対して個別に解説を行う。 |
到 達 目 標 |
個人として生きつつ、関係の中でも生きていくということはどういうことかを理解すること、そして理解した内容を青年期である自らの生活に落とし込み、自らに沿った形で考え、自分なりに実践できる見通しを持つことを目標とする。 |
成 績 評 価 の 方 法 と 基 準 |
試験方法:レポート 実施時期: 各授業におけるグループワークやディスカッションへの参加度合い、および各授業の最後に提出するワークシートの内容(80%)、期末レポート(20%)を総合して評価する。なお、欠席は減点する。 |
学 生 へ の メ ッ セ ー ジ (その他注意等) |
本授業の目的は予め決められた正解に辿り着くことではありません。皆さんが考えたものに触れ、私自身の理解が広がることも楽しみにしています。耳触りの良いことばかりではないですが、理解や疑問点も含めて大切にしてもらいたいと考えています。 |
実務経験の授業 への活用方法 |
これまでの心理臨床の実践経験を踏まえ、個人個人が自己理解を深め、社会生活上の適応を高めていくことに資するような学習内容を用いて、心理教育的な講義を行う。 |
教科書・参考書 | 書 名 | 著 者 名 | 出 版 社 名 | 定 価(円) |
---|---|---|---|---|
なし |
教科書は使用しない。適宜資料を配布する。参考書は授業内で適宜紹介する。 |
0円 |