授 業 期 間 | 2022年度 後期 | 授 業 対 象 | 指定なし(HS学科臨床心理学コースを除く,OT専攻[必修]) 月1or月2or水1or水2 / HS学科臨床心理学コース[必修] 月1or月2or水1or水2 |
科 目 名 |
心理学B/心理学B(知覚・認知心理学)
(Psychology B / Psychology B(Psychology of Perception and Cognition))
|
科 目 責 任 者 | 猪原 敬介 | 単 位 数 | 2単位 |
担 当 者 | 猪原 敬介 |
授 業 の 目 的 |
人間の心について,実験や調査を用いて科学的に検討するのが心理学である。これらの方法によって示される人間の「心」は,日常生活から感じ取れる「心」とは異なることがある。心理学が示す「心」を知ることによって,受講生それぞれの人間観を作る材料を提供する。 |
教 育 内 容 |
現代心理学を幅広く概説する(「心理学A」とは別内容である)。私たちの「知」はどのように獲得・形成されたのか,などのテーマについて講義し,受講生に考える機会を持ってもらう。 |
教 育 方 法 |
すべてオンデマンド型(動画をmoodleにアップロードしておくので,受講生の都合の良いタイミングで視聴する)のオンライン講義である。 スライド,動画等の視聴覚資料を中心に講義形式で行う。講義は配布するプリント資料に沿って進める。 毎回の授業では,課題への回答や,何らかの意見を求める。それらの回答や意見に対して,次回の授業で教員から回答をフィードバックする。 |
準 備 学 習 (予習・復習) |
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】 予習:次回の授業のキーワードについて,書籍やWebで調べ,概要を把握しておくこと。 復習:配布資料を再読し,学んだ概念の具体例を自分自身の中に探す。授業で紹介する文献や資料を読む。 |
回 | 担当者 | 項目 | 授業内容 |
---|---|---|---|
1 | 猪原 【オンライン】 |
オリエンテーション:心理学とは |
心理学とは何か,授業の進め方,心理学の歴史について,古くはどんなアプローチが取られ,現在までにどのような発展があったかを説明する。最新の心理学は,近接領域と融合する学際領域である。心理学の広がりについて説明し,これ以降の講義内容の見通しを与える。 |
2 | 〃 |
知覚・認知1:視覚 |
私たちの視覚は外界をそのまま映すカメラではない。脳による多彩な処理を受けて私たちの視覚を生み出しているのである。視覚の仕組みを中心に,私たちの感覚に存在する錯覚について解説し,こうした脳の処理を実感してもらう。 |
3 | 〃 |
知覚・認知2:短期記憶 |
記憶の分類方法には様々なものがあるが,短期的な記憶と長期的な記憶の違いは日常生活でも意識されるところだろう。短期的な記憶が私たちの心理の様々なところに影響することが近年分かっている。これらの知見について紹介する。 |
4 | 〃 |
知覚・認知3:ワーキングメモリ |
短期記憶の概念は近年発展しており,私たちの日常生活における短期的な記憶機能をより良く反映する概念としてワーキングメモリが提案されている。ワーキングメモリの概念とその重要性について解説する。 |
5 | 〃 |
知覚・認知4:意識と脳 |
脳と心は同一ではないが,心がその大部分を脳を基盤としていることは確かだろう。脳への外科手術を行った事例などから,脳と心の関係を考える。 |
6 | 〃 |
学習1:学習の基礎的メカニズム |
人間は高度な学習能力を持つが,その基礎となるメカニズムはどういったものだろうか。単純でありながら応用範囲の広い「条件づけ」を中心に解説する。 |
7 | 〃 |
学習2:動機づけ |
やる気(動機づけ)を出す,あるいは,出させるには,どうすれば良いだろうか。心理学で提唱されている理論について説明する。 |
8 | 〃 |
学習3:臨界期と第二言語習得 |
母語,そして外国語あるいは第2言語と,私たちは言葉を学習する高い能力を持っている。言語学習について知られている知見を紹介する。 |
9 | 〃 |
発達障害1:自閉スペクトラム症・ADHD |
人口の数パーセントの割合で存在すると言われる発達障害について,最新知見を述べる。 |
10 | 〃 |
発達障害2:学習症・ディスレクシア |
その人の知的水準に対して,著しく読み書きを苦手とする発達障害として,ディスレクシアがある。その事例や理論について解説する。 |
11 | 〃 |
知能1:知能検査とIQ |
知能検査・知能指数とは何か,どのように測定するのか,解説する。 |
12 | 〃 |
知能2:知能の理論 |
知能とは一体何か。これまでの議論の変遷と現状について解説する。 |
13 | 〃 |
遺伝と環境1:行動遺伝学とフリン効果 |
私たちの知能や性格,あるいは精神疾患になるかならないかは,遺伝や環境からどのような影響を受けるのだろうか。行動遺伝学の知見を踏まえつつ,解説する。 |
14 | 〃 |
遺伝と環境2:遺伝と環境の相互作用 |
行動遺伝学的方法論に基づく推定によれば,遺伝は心の個人差に比較的強く影響している。一方で,フリン効果は環境の強い影響を示唆している。遺伝と環境の相互作用について解説する |
15 | 〃 |
総括 |
これまでの授業を振り返る。 |
到 達 目 標 |
知覚・認知心理学を中心に心理学の研究成果を知り,他者に概要を説明できる |
成 績 評 価 の 方 法 と 基 準 |
試験方法:なし 実施時期: 毎回の提出物(moodle上での回答・レポートが主です)にもとづく評価(100%)。 |
学 生 へ の メ ッ セ ー ジ (その他注意等) |
下記で紹介している本は「参考書」であり,購入必須ではありません。心理学をもっと知りたい人のために紹介しています。図書館にも入れてありますので,興味のある人はそちらでまず読んでみると良いと思います。 |
教科書・参考書 | 書 名 | 著 者 名 | 出 版 社 名 | 定 価(円) |
---|---|---|---|---|
参考書 |
心理学 新版 (New Liberal Arts Selection) |
無藤・森・遠藤・玉瀬 著 | 有斐閣 | 4,620円 |