授 業 期 間 | 2022年度 前期・後期 | 授 業 対 象 | 【前期】指定なし(P学部除く)金2 / 【後期】[必修]木2(P学部) |
科 目 名 |
北里の世界
(The World of Kitasato)
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科 目 責 任 者 | 江川 徹 | 単 位 数 | 1単位 |
担 当 者 | 島袋 香子/江川 徹/森 孝之/大村 智/石多 正男/檀原 宏文※ |
授 業 の 目 的 |
1年次の皆さんが、これから4年間あるいは6年間を北里大学ですごし、それぞれの専門課程へ進むにあたり、生物界の一部としての人類を見つめ、サイエンスやテクノロジーとの調和を図りながら「生命に対する畏敬の念」を持つという視点から、科学に基づいて考え行動する力を養成するために、以下のことを目標とします。 1.近代日本医学の黎明期を支え、免疫動物の血清を用いた画期的な予防治療法を発見し、細菌学・免疫学の基礎を築いた学祖・北里柴三郎の事績や生きた時代、そこに込められた思い、さらに、北里の学統を継承し、2015年ノーベル生理学医学賞を受賞した大村智の研究業績などを知ることにより、医療従事者・研究者・教育者などを志す者として、人類に恩恵を与える生命科学・医学の進展とその制御の重要性を理解する。 2.大学の理念は、基礎研究や応用を通して社会貢献をすることである。しかし、最先端の科学は、時として人間による制御を越えて自己増殖する危険性をはらんでおり、大きな倫理的な問題も惹起する。研究倫理を遵守することや大学という最高学府で学ぶことの意義を理解し、今後の学習に対する目標やモチベーションを獲得する。 |
教 育 内 容 |
科学者としての北里柴三郎とその弟子たち、柴三郎が生きた時代背景を知り、北里研究所および北里大学の歩みをたどるとともに、生命科学・医学の最先端を知り、科学的なものの見方、考え方、学ぶことの面白さを理解する。(キーワード)生命科学/北里柴三郎/細菌学/免疫学/感染制御/チーム医療/農医連携/創薬/臨床研究/福沢諭吉 |
教 育 方 法 |
学長、副学長をはじめ、大村特別栄誉教授、本学の名誉教授、北里柴三郎記念室の職員など多彩な講師による多面的な視点によりオムニバス形式の講義を展開し、北里大学全体を俯瞰する。また教育効果を高めるため、課題を提示し、小論文試験を課す。小論文の採点結果について、講師から総評として、コメントをMoodle(学習支援システム)でフィードバックする。講義はプリントやPC(プレゼンテーション)、ビデオ上映による講義形式、記念館展示室見学によるフィールドワークで行う。 |
準 備 学 習 (予習・復習) |
予習:授業内容に関連した文献を読んでおくこと。復習:授業中に取り上げた文献を読み直し自分の考えをまとめる。 授業時間外学習:30時間 |
回 | 担当者 | 項目 | 授業内容 |
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1 | 島袋 香子 学長 江川 徹 副学長 【前期:対面/後期:オンライン】 |
北里大学で学ぶために 【前期】4/8【後期】9/8 |
ガイダンス/生命科学と研究倫理、大学で学ぶことの意味。 大村智北里大学特別栄誉教授の研究業績について。 |
2 | 森 孝之 北里柴三郎記念室 【対面】 |
北里柴三郎の人生と行動、ポリシーの紹介 【前期】4/15【後期】9/15 |
映像で北里の生涯をたどる。医学研究とその実践に全力を傾注した北里。彼が著した『医道論』と、彼が日本政府に宛てた書簡『留学延期願』から北里が理想とする医学者のあるべき姿を考察する。 |
3 | 大村 智 北里大学 特別栄誉教授 【前期:対面/後期:オンライン】 |
イベルメクチンの発見とその後の展開 |
北里研究所で発見した微生物の生産するエバーメクチンとそのジヒドロ誘導体であるイベルメクチン の発見と開発。そして、この物質が世界的にどのような寄与をしているかを概説する。 |
4 | 石多 正男 北里大学名誉教授 【対面】 |
北里柴三郎が生きた社会と文化 【前期】5/6【後期】9/29 |
北里柴三郎が生きた1853年~1931年の日本、そしてヨーロッパの社会や文化はどのようなものだったのか。学祖の人格、そしてあのパワーを生み出した時代の諸相を考える。 |
5 | 檀原 宏文 北里大学名誉教授 【対面】 |
細菌学者としての北里柴三郎~血清療法とノーベル賞~ 【前期】5/13【後期】10/6 |
破傷風菌はどのようにして純粋培養され、そしてこれはどのように血清療法の創始に発展していったのか。さらにこれらは免疫学の発展にどのように寄与したのか。北里柴三郎の原著論文からこれを読み解く。 |
6 | 檀原 宏文 北里大学名誉教授 【対面】 |
細菌学者としての北里柴三郎~ペスト菌の発見と「学者の一分」~ 【前期】5/20【後期】10/13 |
ペスト菌は北里柴三郎とエルサンがそれぞれ独立に香港で発見した。しかし、ペスト菌の学名はYersinia pestis(エルサンのペスト菌)である。何故か。香港のラウソン医師の日記からこの理由を読み解く。 |
7 | 森 孝之 北里柴三郎記念室 【対面】 |
北里柴三郎の弟子たち 【前期】5/27【後期】10/20 |
衛生立国を標榜した北里の学統を継承した弟子達。彼らが北里大学に込めた思いとは何かを考察する。 |
8 | 江川 徹 副学長 【対面】 |
北里柴三郎記念館展示室見学 |
資料・書簡・北里博士が実際に使用した実験器具等に接し、業績とその生涯を実感する。興味を持った点、感銘を受けた点などをレポートとして提出。(授業全体のアンケートを含む) |
到 達 目 標 |
1.これから何をめざして進むべきか、自己探求のきっかけをつかみ、北里大学で学ぶことの意義や学び方を理解できる。 2. この授業で学修したことにより、自分は北里大学の学生として、どのように過ごすか。また、就職活動や留学の際などに「北里大学って、どんな大学ですか?何を学びましたか?」という質問に、どう回答するかを結び付けて考えることができる。 |
成 績 評 価 の 方 法 と 基 準 |
試験方法:その他 実施時期:試験期間外 ①小論文試験:A4判 約1,200文字。出題担当者:石多、檀原、森。小論文提出:各課題提示の別途指示する。採点:各担当者の採点を合計して90点とする。②北里柴三郎記念館展示室見学:10点(白金キャンパス、記念館展示室内にて出欠を取る)。後期の見学期間等の詳細は別途掲示する。成績評価は①小論文試験と②記念館展示室見学の合計100点満点で評価する。 |
学 生 へ の メ ッ セ ー ジ (その他注意等) |
積極的に取り組めば学生生活に自信と誇りが生まれる。自分の中の秘められた可能性を見つけてほしい。 |
実務経験の授業 への活用方法 |
【檀原 宏文】 研究所での細菌研究を通して北里博士の功績に触れ、細菌学者としての北里博士や細菌学的意義を概説する。 |
教科書・参考書 | 書 名 | 著 者 名 | 出 版 社 名 | 定 価(円) |
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参考書 |
ラウソンレポート |
檀原宏文 | 北里柴三郎記念会発行 | 0円 |
参考書 |
北里柴三郎学術論文集 |
林志津江、森孝之 檀原宏文、手塚甫 | 学校法人北里研究所発行 | 0円 |
参考書 |
北里柴三郎 / 増補 北里柴三郎とその一門 |
長木大三 | 慶応義塾大学出版会 | 0円 |
参考書 |
北里柴三郎─雷と呼ばれた男 |
山崎光夫 | 中央公論新社 | 0円 |
参考書 |
北里柴三郎─熱と誠があれば |
福田真人 | ミネルヴァ書房 | 0円 |